ランプの概要

 人口の光のなかで、人類と一番長く共に過ごしたのは、炎の明るさでしょう。人類が人類になったときから、炎は焚き火、ロウソク、カンデラと形を変えつつ我々の暮らしを照らしてきました。やがて電気が日常生活で使われるようになると、(電気を光に変換する)ランプが登場しました。私が子供の頃は白熱電球を発明したのはトーマス・エジソンであると教わりましたが、実際はジョゼフ・スワンという人が発明し、エジソンは商用化したのだそうです。

 発光素子としてのランプは、熱輻射型と放電型のものに分けられます。身近な(だった)白熱電球は熱輻射型に分類されます。蛍光灯等が放電型のランプです。

「ランプの分類」

f:id:Aoi_Rohn_222:20150704192646p:plain

 熱輻射型は、金属に熱を与えたときに発生する電磁波を用いるものです。金属だけでなく、物体は全て温度を持っているので電磁波を出しています。TVでサーモグラフィーというものを見たことがあると思います。人間の体が赤く映ったりするアレです。人間から発生する電磁波は、人間が視ることの出来る波長よりも長い(赤外線という)ので、特殊なカメラを使わなければ見えませんが、ランプのフィラメントの温度はとても高いので、人間が見える波長の電磁波を発生させるのです。ここで、光量子の式を思い出して下さい。

 

E=hv=hc/λ

 

光量子のもつエネルギーEは波長λに反比例します。長い波長の光ほどエネルギーが低く、短い波長の光ほどエネルギーが高いのです。

 

 一方放電型は、ランプの中に封入されたガスに放電(バチッというやつ)をして、ガスの気体分子にエネルギーを与えます。気体に電気エネルギーが与えられると、気体の周りの電子がそのエネルギーを貰い、より高いエネルギー状態になります。電子は、もといた軌道(原子核を回るコース)から、より高いエネルギーを必要とする軌道に飛び移ります(励起するという)。せっかく飛び移ったのですが、電子はまたもといた低い軌道に戻ってしまいます。このときに、光としてエネルギーを放出するのです。このような光の特徴は、一定のエネルギー値を持っていることです。軌道と軌道のエネルギーの差は一定だからです(電子と陽子の間に働くクーロン力から、ある軌道の持つエネルギーはある一定の値を持ちます)。従って、放電型ランプからどのような波長の光が出たか調べると、下図のように飛び飛びの値になるのです(スペクトル図という)。

 ご存知のとおり、家や町の電球は今LED電球に変わりつつあります。それどころか、環境への負担から白熱電球の製造を抑止すべく各国が動いてさえいます。今後、発光素子は全てLEDに変わる方向性になるでしょう*。しかし、広い波長域を一度に出す用途や、半導体素子で出すのが難しい紫外光の領域ではまだランプが現役で使われています。

 

*今すぐというわけではないようです。

www.sangyo-times.jp

リンクを参照しますと、思ったようにLEDの置き換えが進まず、2017年まで世界のLED市場は横ばいだそうです。LEDのランニングコストは安いのですが、交換にかかる費用が高いそうです。