空から地形を測る・・・航空レーザー測量

 前回はドローンの話をしました。今回は、ドローンでは及ばない高度からの光計測について話します。それは、航空レーザー測量と呼ばれるものです。ドローンよりもっとずっと高高度、広範囲で、ドローンのところで説明した距離センサで地表をスキャニングするわけです。飛行機は自分の位置をGPSで正確に把握しながら、地表の凹凸を測定してゆきます。

 

航空レーザー測量の仕組み

 

レーザー測量の重要な要素は三つあります。一つは距離センサ、もう一つはGPS受信機、最後にIMU(慣性記憶装置)です。飛行機は飛びながら地表をスキャンしています。そこで自分の位置を知るためにGPSを使います。また、どのような角度で地表にレーザーを飛ばしたか知るために、IMUを使います。

航空レーザ測量

 

どんなところで使われているか

 

地表計測の用途です。

http://www.mlit.go.jp/river/gijutsu/main/LP/

上のリンクは国土交通省のHPです。平成20年の岩手・宮城内陸地震によって、各地で川が土砂で防がれて天然のダムが発生した際、人の立ち入りが出来ないため、早期の現状把握に航空レーザー測量が使われています。

また、地震の発生リスクの評価のために用いられているようです。

http://danso.env.nagoya-u.ac.jp/jsafr/documents/AFR029_001_013.pdf

東北関東大震災の地盤変動の評価にも用いられました。

www.city.urayasu.lg.jp

 

光計測で地震を予知できるか

 

航空レーザー測量の一番需要がありそうな用途は、やはり「地震予知」ではないかと思います。地震は断層のテンションの開放によっておこるので、沈み込む断層の経時変化を測定することで地震リスクの評価が可能になります。今後の課題はもっと精度よく計測することと、地震のメカニズムの解明をすること、でしょうか。津波のリスクがある地震は海底で起こります。海底を計測するためのレーザー測量器もあります。

航空レーザー測深器(現状は浅瀬の計測を想定)

日本初の航空レーザー測深機試験運用開始

実は光計測と水はあまり相性がよくないのです。水が光を吸収、拡散してしまうからです。水面下の計測は、やはり音波を用いたソナーに歩があるようです。もっとも、最新技術では音を測定する光技術もあるようなので、今後は海中計測用光技術が発展する可能性もあります。

 

航空レーザー測量の会社

 

非上場ですが、朝日航洋株式会社様という会社があります。

www.aeroasahi.co.jp

株主はトヨタです。やはり先見の明がありますね。私は上場したら株を買ってみたいですね。東日本大震災後、ネパールや各地で地震が起こっており、今後も地震予知のニーズはますます向上してゆくでしょう。