自動運転には光技術が必要不可欠

ここでも距離センサ

 

さて、今回も距離センサから演繹して、自動運転について書きたいと思います。何かと話題の自動運転です。Googleが参入したことも記憶に新しいですね。自動運転に、光距離センサは不可欠です。自動運転業界では、「レーザーレーダー」とも呼ばれます。これを用いて、車周辺の環境を認知し、必要に応じてブレーキをかけたりする訳ですね。自動運転という高度な要求を達成するには、センサは一つでは全然足りません。前方、後方、側面にセンサは必要ですし、ミリ波レーザーレーダーは遠くまで届きますが分解能が低いので、赤外レーザーレーダーとの併用が望まれます。*分解能と波長の関係については以前の記事を参照。何が言いたいのかというと、複数のセンサから得た情報を統合して状況の把握と行動決定をする「頭」が必要であるということです。このことを、「センサフュージョン」といいます。

 

センサフュージョンとは

 

センサフュージョンとは、簡単に捕らえるならば複数のセンサの情報から外界と自己の関係性を明確にすることです。例えば立方体の中で、自分がどこにいるかを捉えたいとします。三つのセンサを用いてx,y,z座標を同定すれば自分の座標が分かります。これはセンサフュージョンの最も簡単な例であり、入り口に過ぎません。この立方体の中の座標決定のメカニズムは、互いに関係のない(直交している、という)情報を足し合わせたものです。しかし、センサフュージョンはもっと高度なことも出来ます。自動運転に例えましょう。自動運転車搭載のカメラが、障害物を捕らえたとします。すると、レーザーレーダーがその情報をもとに、障害物が存在する領域にレーザーをあて、障害物との正確な距離を計測します。荒い計測でおおまかなポイントを掴んだ後、精密な計測で詳細な情報を得るということです。このように、個々のセンサの特質(何を、どれ位の精度で測れるのか)を活かして効率よく計測を行うことがセンサフュージョンの本質なのです。

 

自動運転=センサ×AI

 

さて、機能が高度化すると、とてもセンサの優位性だけで新規性を勝ち得るのは不可能になってきます。センサだけに着目すると、結局は精度勝負になるからです。自動運転のように、機械が人間に代替するようになるには、複数のセンサからの情報を効率よく処理して意思決定する必要があり、経験を蓄積してそれを活かさなければなりません。これはもう、人口知能なのです。なぜGoogleが自動運転に参入したのかこれで分かりました。Googleにはセンサ技術はありません。インターネット検索機能で培われた人口知能の技術があるのです。

光センサを活かすには、程度の高低はあるにせよ、それを処理・統制する「頭」が必要であることが大きなポイントです。光センサメーカーがデバイスだけではなく、モジュールをも製造している場合が多いですが、この場合、「ASIC」という「ある特定の用途用に開発された集積回路」が用いられることが多いです。

 

特集:MEMS技術 センサー・フュージョンの新技術 | ローム株式会社 - ROHM Semiconductor

 

 

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