導入-物理学のプロセス

 このブログが対象にしているのは、光技術や他分野の技術者の方はもちろんのこと、将来有望な市場を探している方も含まれます。理系でない方にも光技術のポイントを抑えて頂けるよう、まずは物理学のプロセスから導入したいと思います。

「物理学のプロセス」

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 上図をみて下さい。スタートは往々にして、事実です。事実は教科書に書いてある難しい数式のことではありません。私達の「目の前」で、「実際に」起こっていることです。事実から、私達は何かを学びたい。物理学の場合は原理です。原理とは、ある事実の裏に潜む法則であり、その法則を利用すれば、事実を操作できるようになります。しかし事実からいきなり原理までたどり着くのはとても難しい。原理というのはより普遍的で範囲の広いものだからです。そこで、まずは個々の事実をモデルに抽象化します。つまり、目の前で起こっている事実を構成する要素のうち、重要なものを抜き出して、そうでないものは省略します。そして、このモデルから数学を使って原理を導き出すのです。原理とは法則のことですから、厳密には数式で表されるものですが、数式を理解するにはときには高度な数学力が必要になりますので、概要・イメージを言葉で表す場合もあります。さて、原理として数式が得られたとしましょう。これが本当に正しいのかどうか、検証する必要があります。多くは実際に実験をやってみて検証しますが、実験の実行が困難な場合には、シミュレーション等で数理検証が行われます。要は、その原理が正しいかどうか証明する必要があるということです。予想と違った結果が出れば、再度このプロセスのサイクルを経ることになります。現代までの物理学の発展は、まさにこのサイクルの回転と同義だといえると思います。当ブログでは、原理についてはイメージの説明に留めることにします。

 注意:モデルそのものを原理とする捉え方もありますが、物理学としては複数のモデルの根底に流れる統一理論を探ることが目指すところといえます。