紫外線顕微鏡 

 前回は紫外線を使ってものに影響を与える用途でした。今回は、紫外線を使ってものを観察する用途、紫外線顕微鏡について説明します。とはいうものの、紫外線顕微鏡は紫外線を光源とした顕微鏡、というだけです。なぜ紫外線を使うのかというと、紫外線を使うと、顕微鏡の分解能を向上させることができるからです。まずは、顕微鏡についてです。顕微鏡には、以下のような種類がありますが、紫外線顕微鏡はその中でも、光学顕微鏡というものになります。

 

・光学顕微鏡

電子顕微鏡

走査型プローブ顕微鏡

X線顕微鏡

・超音波顕微鏡

・バーチャル顕微鏡

 

可視光線を扱う光学顕微鏡は最初に発明された顕微鏡です。光を物質にあてて反射してきた光をレンズで結像させる反射型顕微鏡と、光を物体に通して観測する透過型顕微鏡があります。

光学顕微鏡 - Wikipedia

顕微鏡の基礎知識 応用編〜オリンパステクノラボ編纂冊子より抜粋・改変〜 | 顕微鏡を学ぶ | バイオイメージング オリンパス

ではなぜ波長が短くなる光を使うと分解能が上がるのでしょうか。まずは、分解能の定義からです。光学顕微鏡では、分解能は、2つの点光源がお互いにどれだけ離れていれば、2つの光源と認識できるか、という2点分解能をもって定義されます。そして、その公式はレイリーの基準によれば、

 

σ=0.61×λ/ NA σ:分解能 λ:波長 NA:レンズの開口数

 

σが小さければそれほど、細かいものがみえるということになります。2点間の距離が小さくても2点と認識できるということですから。また、0.61という定数は、レーザーのように干渉しない光(インコヒーレントな光という)の場合のものです。コヒーレントな光源、パーシャルコヒーレント(部分干渉性をもつ)の照明の場合の公式はそれぞれ、アッベの公式、ホプキンスの公式といいます。

 

【第3回】顕微鏡の能力 その1 〜分解能と倍率〜 | 顕微鏡の基礎知識 応用編〜オリンパステクノラボ編纂冊子より抜粋・改変〜 | 顕微鏡を学ぶ | バイオイメージング オリンパス

 

こんな公式があるから、では波長が分解能を決める答えにはなっていませんね。少し掘り下げて調べてみました。以下のブログ様のページを参照して下さい。ファインマン物理学では、その答えとして、次のように説明しているそうです。いわく、分解能とは、2つの点光源からの光がどれだけ時間差をもって目に到達するかの指標である、と。目でものを見るには光が目に到達し、なければいけません。その時間差で2つの光が同じ光源からのものなのか光源が2つあるのかを判断しているそうです。そして、目が光波の振幅のピークで反応するのなら、最小の時間差は1つのピークと隣のピークの間、つまり1波長分光がゆく時間だということです。公式とは違い、イメージで捉えられるのではないでしょうか。

 

波長と分解能 - 小人さんの妄想

 

可視光線で一番波長が短いのは紫外線です。従って、可視光を使う光学顕微鏡では紫外線顕微鏡が一番分解能が高いということになります。用途としては工業製品の検査用などがあります。リンク先の顕微鏡では水銀キセノンランプを使っていますね。

 

オリンパス ニュースリリース: 顕微鏡用深紫外線観察システム「U-UVF248」新発売~0.08μmの高解像能力を提供

 

ただ、現在は電子顕微鏡など、波長の限界を超えて分解能を向上させる様々な方式がありますので、3Dプリンタに比べると少ない需要かもしれませんね。